株式会社カマハラ鋳鋼所

単重30tを超える大型鋳鋼品が製造できる数少ない鋳鋼品メーカー、カマハラ鋳鋼所。
製造した鋳鋼品は船舶をはじめ、機械、土木、建築と幅広い分野で活用されています。

弊社の部門は、木型・造型・仕上・検査と分かれており、それぞれのエキスパートが、日々、鋳物と向き合って働いています。各部門のスタッフにインタビューしましたので、仕事内容、やりがい等をご参考にしてください。

木の模型をつくる 木型部門

近江 康平

  • 製造部 鋳造課 木型班
  • age:21
PROFILE
2018年、農業高校 森林総合科を卒業。在学中、就職支援でカマハラ鋳鋼所の工場見学をした際、同社のものづくりの様子、製造品、木型の業務に興味を持ち、就職。3か月間は仕上部門で検査業務の研修を受け、4か月目から木型班へ。以降、同班にて業務を行っている。

近江さんの仕事内容

近江さんの仕事は、木や発泡スチロールを用いて、型の模型を作る仕事。鋳物製造の工程は、①木型部門で模型をつくる▶②造型部門で模型をもとに型をつくる▶③型に溶鋼を流し込む▶④仕上部門で型から外した鋳物を整形▶⑤品質保証部門で製品の最終チェックといった流れになるため、木型は鋳物の基礎となる。

Time Schedule

上流工程ならではのプレッシャーと緊張

小学校から自宅の机や椅子をつくり、高校の授業では木を育てたり切ったりするなどして「木に触れること、ものをつくることが好きだった」という近江さん。カマハラの従業員が黙々とつくる姿を見て就職を決意した。「初めは造型の芯をつくる簡単な作業でしたが、それでも趣味のようにはいかない。昔は緊張の毎日を送っていました」

木は加工がしやすいという利点があるため模型に使われ、さらに、斜頸、細かな加工等が必要なものには発泡スチロールが用いられる。「ただ、図面の寸法より小さくなってしまった場合は、木だけに肉付けすることができないので一からのやり直し。大きくなった場合は金属になってから整形しますが、そのぶん、整形の工程で時間を取らせてしまうので、基本的に木型の模型は寸分の狂いもなくできていなければならないんです」

つくることに集中する力と持続力が成長に

「入社間もない頃は失敗が多く、叱られてばかりでした」と笑う近江さん。木型班の業務は、模型の形状等を決める「方案」、模型の原寸大の図面をつくる「原図」、模型製作、仕上げ、検査と多岐にわたるため、近江さんは先輩に付き添ってもらい、各々の業務を覚えた。「今も僕が携われるのは3週間程度で出来上がるサイズ、難易度のもの。それ以上のサイズのもの、歪な形状のものとなると20年近いキャリアのある先輩がしています」

木型班の仕事に必要な力は、集中力、持続力、コミュニケーション力。「一朝一夕にできるものではないので、まずは、つくることに集中し続けられるか。あと、コミュニケーション力、器用さはあったほうがいいですね」。入社当初は工場の暑さで熱中症になり、今でも冬はかじかんだ手をカイロで温めながら業務を行っている。が、厳しい環境でも、模型は近江さんを魅了してやまない。「最近、確実に成長したという実感が持てるようになりました。会社としても難しい仕事が増えていますので、もっと高みを目指していきたいと思っています」

木の模型に合わせて
砂の型をつくる
造型部門

大家 誠

  • 製造部 鋳造課 造型班
  • age:39
PROFILE
大学中退後、アパレルの店員、とび職、自動車部品工場の業務、運送業のドライバー等を経験。転職を考えていたところ、知人がカマハラ鋳鋼所のパンフレットを手にしていたのをきっかけに、工場見学・面接へ。2014年、安定した労働環境、報酬を求めるべく同社へ入社。

大家さんの仕事内容

木型をベースに砂を固め、溶かした金属を流し込む「型」をつくる仕事。砂は木型の表面部分にかけて鋳物の表面を滑らかにする「肌砂」とその上にかける「裏砂」がある。型は、製品の主となる部分の「主型」、空洞のある「中子」とあり、大家さんは主型の業務を経て、その後、中子の業務をメインに行っている。

Time Schedule

頭も体も使う仕事だからやればやるほど面白い

「自分がつくった型で鋳物ができること自体が面白かった」と昔を振り返る大家さん。入社間もない頃は、雑用をこなしつつ、材料や工程、砂に薬品を混ぜる「調合」を習得。その後、造型の業務を始めた。「一通りの業務を覚えるのに1年はかかりましたし、今も日々覚えることがあります。経験を積んでいく中で、設計段階で木型がどうあればよいかも考える必要があり、木型班や技術者との話し合いにも参加しています」

カマハラ鋳鋼所が製造する鋳物は9割が船舶用。過去、自らが手掛けた製品が使われている船を目にした大家さんは、これまでにない大きな感動を覚えたという。「実際に船を見ると、こんなに大きなものに使われているのかという驚きがありました。もし僕と同じ仕事をする方がいらっしゃるなら、ぜひ見てほしいと思うぐらいです」

クオリティが低いものならすぐにでも作れる

現在、大家さんが取り組んでいるのは、限られた時間の中で製品のクオリティを上げる業務改善。造型はその仕上がりしだいで後工程にも関わる重要な部門であるため、月に数回は他部門とも話し合い、砂の撒き方ひとつから見直しを図っているという。「極端な話、クオリティが低くてよいのであれば、すぐにでもつくれます。が、弊社は複数の人間が協力しあい、ひとつひとつ手作業でつくり上げる会社です。それだけに、やりようによってはもっと製品の質の向上が期待できると考えていますし、実際、少しずつ改善の手ごたえを感じています」

集団でものをつくるということ。そこには面白味もあるが、同時に難しさもある。「人にはそれぞれの性格、立場や意見があるので、単に自分が思ったことや希望だけ伝えても意味がない。だから、できるだけ広い視野、多角的な視点を持って相互に話し合い、各々が業務と向き合っていくことが重要だと思っています」

溶接、機械加工
サンダーショット(バリ取り)
仕上部門

中野 裕太

  • 製造部 仕上加工課 サンダーショット班
  • age:33
PROFILE
高校卒業後、スーパーの販売員として約2年、パチンコ店のホールスタッフとして約7年勤務。転職を考えていたところ、先にカマハラ鋳鋼所で働いていた友人からの誘いがあり、2017年、同社への入社。以後、鋳物を整形する仕上加工課のサンダーショット班にて活動中。

中野さんの仕事内容

型から外した「鋳物」を整形する仕事。部署は、鋳物の補修を行う「溶接切断」、補修した箇所をなめらかにしたり、火の勢いにより、型についていた砂を落とし、整形する「サンダーショット」、図面に記載されている寸法通りに鋳物を加工する「機械加工」の3つの班に分かれており、中野さんは入社よりサンダーショット班で業務を行っている。

Time Schedule

仕事は厳しいけれど収入と安定性に満足している

カマハラ入社後は周囲にいる先輩から指導を受け、徐々に仕事を覚えたという中野さん。「サンダーショット班の業務は比較的覚えやすく、慣れやすいんです。未経験だったので初めは戸惑うこともありましたが、体力と根性、協調性とコミュニケーション力があれば、誰でも問題なくできる仕事だと思います」

型から外した鋳物をグラインダ(回転する大きな砥石)に押し付けて、鋳物に残ったバリや不要な部分を研磨して整形する仕事。表面が滑らかになるまで圧をかけ続けなければいけないため、手や腕が痛くなることもある。「正直、パチンコ屋もスーパーも空調は快適でしたから、労働の厳しさという面では転職してよかったとはいいきれない。でも、収入は安定しましたし、何より福利厚生が充実したという点で満足しています」

しんどい仕事でも全員でやれば達成感は格別

前職、前々職では人間関係で悩むことがあったという中野さん。転職後は和やかな職場の雰囲気に助けられていると話す。「ピリッとしているわけでもなく、ワイワイしているわけでもなく、和やか。仕上課は約20名の従業員がいますが、言いたいことも言えるし、よっぽどのことをしなければ叱られることもない」

サンダーショットの業務はひとりで行う場合もあるが、5、6名で行うこともある。中野さんは、このチームワークによって自身の協調性が強化されたと話す。「複数人で連携をとっていると、周りを見て指示をしたり手を動かしたりするので、おのずと視野が広がってきます。また、全員で知恵を出し合って効率化を図るので、つらい仕事ほどやり終えたときの達成感が大きいんですよ」

完成した製品の最終検査 検査部門

中脇 幸太郎

  • 品質保証部 検査課
  • age:32
PROFILE
高校卒業後、太陽光パネルを扱う会社へ入社。約10年、シリコンインゴットの製造に携わる。2018年、カマハラ鋳鋼所で働く先輩に誘われたのを機に、同社へ入社。以後、品質保証部の検査課で活動。

中脇さんの仕事内容

製品が所定の形状、寸法に収まっているかどうかを、社内やクライアントの図面や仕様書・検査基準書に基づいて測定し、検査する仕事。測定は、レーザーやモノサシ、メジャーなどを用いて行い、整形すべき点は印をつける等して指示をする。また、検査選任スタッフとして製品に傷があるかないか等のチェックも行っている。

Time Schedule

「手に職」の仕事だから飽きることがない

「前職は機械を使う製造だったので、誰にでもできるという点で仕事に飽きていましたし、ストレスを感じやすかった」と話すのは入社4年目の中脇さん。「カマハラでは、まさに『手に職』の業務。はじめのうちは覚えることが多くて大変でしたが、そのぶん、転職をして仕事にやりがいを感じられることも多くなったと感じています」

未経験からのスタート。道具の使い方、図面の見方もわからなかったが、2年ぐらい経って仕事が身についたと実感するようになり、業務が面白くなったという。「仕事を覚えないと他部門との連携もとれませんので、当然ながら仕事の面白味は感じられません。業務の数をこなすほど面白くなっていく仕事だと思います」。とはいえ今でも課題はあるそうだ。「小さなミスもなく、さらに精度の高い仕事ができるようになりたいですね」

妥協できない仕事だから対人力は絶対にいる

規則的な勤務時間や休日休暇を求めて転職した中脇さん。家族との時間を持てるようになり、職場の人間関係にも満足するようになったという。「弊社は同じものばかりをつくっているわけでなく、変わった形のもの、見たことがないものなど、次々と挑戦すべき業務が入ってきますので、人と協力し合える環境でなければ仕事をしていくのは難しい。労働環境という意味では、工場の中が埃っぽいことなど、すべて気に入っているとはいえないのですが、やはり、仲間といいものづくりができていることは幸せだと思っています」

中脇さんは、品質保証部で働く上で必要な能力として第一に「コミュニケーション力」を挙げる。「気が弱いより強い人のほうが向いているし、言いたいことは言える人のほうがいいと思います。人ひとりで考えられることなど限界がある。また、イエスマンであれば、相手のいうことを聞くだけになる。不明瞭な点をそのままにすることができない業務だけに、相手の意見を汲み取って、意見するということは基本として必要だと思います」